近年、「戸建住宅やアパートをグループホームに転用したいが、どうしたらよいか?」
というご質問を頂くことが多くなった。
背景には、日本が抱える少子高齢化問題に伴う「空き家問題」の解決策の一つとして、
空き家を供給が圧倒的に不足している障害者グループホームへの活用に当て込む方向に
国が動いていることがある。

グループホームを整備する場合、建築基準法上の用途の整理が最初の課題となる。
以前から次のような論点が存在し、国も定まった見解を示していなかった。
【福祉事業者の見解】
・次の理由及び利用者が居住する家なので「一戸建ての住宅」として取り扱うべきだ
(1)現に存在する事業所は戸建て住宅やアパートを転用したものが多かったため
(2)これらを「寄宿舎」の基準に改修するコストが膨大で現実的でないため
(3)新設するコストが増大し、グループホームの普及の妨げになる恐れがあるため
【建築行政の見解】
・居住形態からして「寄宿舎」として取り扱う
・自立的避難が困難が者が利用する就寝用途の建物は「児童福祉施設等」として取り扱う
【福祉行政の見解】
・事業者に寄り添いたいが、建築行政の判断に委ねる
【消防の見解】
・独自の用途区分により、消防上必要な設備を求める

数年前までは、以前から存在した事業所は「例外的」に存在し、新たに整備する事業所は
「寄宿舎」とすることが原則であった。ところが、現在は長崎や北海道で起きた小規模福
祉施設の火災等を契機に、防火上必要な設備は(既存の事業所も含め)設け、避難上必要な
措置を行なうこととしながら、建物の規模に合った(現実的な)緩和がなされている。
上述した「空き家問題」の解消の支障とならないよう、課題であった既存施設の「例外的」
な取扱いを廃し、(二重基準とならないように)新築する場合との整合が図られている。

~緩和の経緯~
2013年9月:国交省通知(違法貸しルーム対策に関する通知)
この通知により国は、グループホームを原則「寄宿舎」として扱うことを明確にした。
これを受け、東京都や各自治体が既存事業所が成立するような現実的な条例等の緩和を
おこなった。
以降、用途変更の支障となる(改修コストが大きい)規制が緩和されていった。
例:防火上主要な間仕切壁、階段の寸法等
2019年6月:建築基準法改正(確認申請を要しない特殊建築物の範囲が200㎡未満へ緩和)
※確認申請手続きが不要であるからといって、基準が不適用となるわけではないため、
必要な基準には適用させなければなりません。

建築基準法は最低限の基準を定めたものであるため、利用者の安全を第一に考えた場合、
国や自治体が定めた基準で充分かの検証や、バリアフリー改修の必要性などを見極める
ために、既存建物を使った整備を行なう場合は、建築士などの専門家に調査や検討を依
頼することをお勧めします。
当社では、既存建物を活用した整備から、木造でコストを抑えて新たに整備するなど、
お客様のニーズに合わせ幅広くご提案・ご協力致します。