大林宣彦さんは、戦争の記憶を失った日本の平和は、どこか危うい、と言った。
人間は悲しいほどに歴史の記憶から遠ざかり続ける。
しかし、多くの人がその存在をかけて戦争の非を語り続けてきたのであり、そうした人や、それを見聞きしてきた者たちが、世の危険な動きにブレーキをかけていくことは、とても大切なことだ。
安全保障という概念が、昔も今も危険な方向へのキイワードであるのと同様に、危機に際して「個人の自由の抑制が必要だ」という発想も危ういキイワードだ。
私たちは、坂道を転げ落ちないように、先人が留めようとした記憶に思いをはせながらこの危機を乗り越えなければならない。